2003年07月04日
026:Ich(世界言語の並替屋)
「たかがりんご、されど林檎!」
このコラムのテーマを聞き、すぐ心に浮かんだものがある。生まれて初めて離乳食として口にしてこのかた数十年、(喉ではなく)胸につかえているもの・・・そう、それが“林檎”である。
「何だ“林檎”か!」と思っているでしょう・・・では先ず小手調べから
・学名:「Malus pumila var. domestica」。
・ 他21ヶ国語では:Apple(英)、Pomme(仏)、Apfel(独)、
Mela(伊)、表示できず(葡)、Manzana(西)、Appel(蘭)、
表示できず(瑞)、Eple(諾)、Omena(芬)、Pomum(Latin)、
表示できず(希)、Alma(洪)、苹果(中国・簡体字)、蘋果(中国・繁体字)、表示できず(韓)、Epal(Malay)、Apel(Indonesian)、
表示できず(Thai)、Appel(Afrikaans)、tunda la kizungu(Swahiri)、
Яблоко(露)。
・ 辞書:バラ科の落葉高木。ヨーロッパで古くから果樹として栽培され、日本には明治初期に導入された。春、枝頂に微紅色の五弁花をつける。果実はほぼ球形で、果皮は紅色・緑黄色など。果肉は花托が発達したもので、甘酸っぱく芳香がある。【三省堂「大辞林」より抜粋】
・ 成分(100gあたり):エネルギー(50kcal)。水分(85.8)、炭水化物(13.6)、たんぱく質(0.2)、脂質(0.1)、ミネラル(カリウム、銅、亜鉛、リン、カルシウム、マグネシウム、鉄)、ビタミン(C、E、B1、B2、カロチン)、植物繊維(1.3)。廃棄率(15%)。【「日本食品標準成分表2000」より】
・ 種類:「ふじ」「つがる」「陸奥」「王林」「紅玉」「世界一」「サンフジ」「さんさ」「北斗」「ジョナゴールド」「輝」「秋映」「国光」「レッドゴール」「デリシャス」「新世界」「王鈴」「金星」・・・・・約一万種も?
・ 原産地:中央アジアのコーカサス地方(西洋林檎)から中国の天山山脈(和林檎)。
・ 起源:紀元前8000年頃で、トルコではその当時の林檎が炭化した状態で発見。
・ 世界最古の林檎:4000年前の姿のままで、ロンドン、スイス、ニューヨークなどの博物館で保存。
・ 日本への初導入:「黒船で浦賀にやって来たペリー提督の献上品が最初」とか、「明治4年北海道開拓使次官黒田清隆がアメリカから苗木をおくり植えられたのが始まり」とか色々。
・ アダムの食べた林檎が喉に止まって喉仏(のどぼとけ)となる。そのため喉仏を「アダムの林檎」(英語:Adam’s Apple、
仏語:Pomme d’Adamo)と言う。
・ イブの食べた林檎は、胸で止まって乳房になる。(・・・食べたのが2個で良かった~!)
・ 『りんご追分』の美空ひばり、『リンゴの唄』の並木路子、そしてシンガー・ソングライター椎名林檎、さらに私の好きだった元ビートルズのメンバー「リンゴ・スター」・・・
でもこれだけでは少しも胸のつかえは取れません。
それどころか林檎は、歴史上の様々なシーンに現れ、そして極めて重要な役割も果たします。
そこを文学・心理学・史学・地学・言語学などの枠をとり払い、“自由気ままに”眺めてみると、なんと実に色々な疑問や興味、好奇心が次々と湧き出てきます。
● グリム童話の絵本で、毒林檎を食べた「白雪姫(Snow White)」は、どうして王子様にキスされただけで生き返ったのか?またこれが毒林檎ではなく“毒葡萄”や“毒蜜柑”だったら果して食べたのか?
● あの有名なウィリアム・テルのその“息子”。頭に林檎を乗せて矢を射られた後、彼は林檎に対してどんな感情を抱き、そしてその後も平気で林檎を食べ続けたのか?
● 旧約聖書で、神は楽園に住むアダムとイブに何故林檎だけを食べるなと言い、またアダムとイブは、蛇にそそのかされただけで何故その“禁断の実(林檎)”を食べたのか?
● ギリシア神話の中で、ヘスペリスの娘たちが護る「黄金に輝く林檎」とはどのようなものだったのか?またその林檎が実る西の果ての“すばらしい楽園”とは何処だったのか?
● 平安時代初期の文献で“利宇古宇(りうこう)”と出ているりんごが、何時“林檎”「禽(とり)が集まる木、読み(リンキン)」の文字に置き換わり、また何時誰が“りんご”と呼ぶようになったのか?
● 「シルクロードはアップルロード」とも言われるが、中央アジアを原産地とする林檎が、シルク(絹)とどんな関係で、どのような役割を持ち、どうやって世界に広がったのか?
● 約300年前、ニュートンが「万有引力の法則」を発見したのは「木から落ちた林檎を見て」と言われるが、地球・大地の象徴となる「林檎」がその時ニュートンの前で落ちたのは偶然だったのか?
● そしてその林檎の木(オリジナル)は枯れてしまうが、接木された所謂“クローン”の「ニュートンの林檎の木」が世界各地に存在するという。ではそこに実る林檎は現代に何を語り、またそのDNAは未来にどのようなメッセージを残そうとしているのか?

● 近代画家の父ポール・セザンヌの描く林檎は単なるモノではなく、愛とエロティズムの象徴と言われる。きっかけとなった中学時代、その後長い親交が始まるあの文豪“エミール・ゾラ”と、一体何があったのか?・・・そしてその後二人が決別した後も、どうしてセザンヌは「林檎の静物画」に拘り続けたのか?

● 1976年天才スティーブ・ジョブズが設立した「アップルコンピュータ」の社名の由来は、彼が林檎好きだったとか、林檎園で働いたとか、ビートルズのファンだった(ビートルズのレーベル会社名がアップル)からとか言われるが、では齧(カジ)った(bite⇔byte)ロゴマークの林檎を“6色”にしたのは何故か?
● 米国のニューヨークがビッグアップル(Big Apple)と呼ばれるようになった理由は何?ビッグオレンジ(Big Orange)とは何故呼ばれないの? ・・・など等。
これだけでも、まさに『たかがりんご、されど林檎!』だと思うでしょう・・・そして、もっと詳しく調べてみたくなりません!
・・・どうです、皆さんも『おひとつ林檎、い・か・が!』
次回は、「優雅、華麗なるドライバーのHataさん登場です!」
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